みちくさ部外伝 7.29 『涼を呼ぶ、吊り忍』

みちくさ部長・清右衛門です。

みちくさ部にゲストをお迎えしてお送りするみちくさ部外伝シリーズ。
今回のお相手は、さすらいの庭師・>>マメシバ造園さん
杉並区を拠点に、時にはリヤカーを引いてまちを練り歩くニュータイプの庭師さんです。

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テーマは、夏の風物詩『吊り忍』
シノブの緑と風鈴の音色が目と耳に涼しく、クーラーのない江戸時代に
暑い夏を乗り切るために考え出された粋な文化のひとつです。

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まずは、ご挨拶。マメシバ造園さんは午前中のお掃除会にも参加!
プロの技で、庭のドウダンツツジをばっちり剪定されていました。
そのいでたちのままワークショップに突入! いよっ!いなせだねい!

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続いてプロジェクターでスライドスタート!
わたくし、みちくさ部長がシダとコケの基礎知識を少しだけ...
(その割にずいぶん喋ってたんじゃないかって?)
小中学校で習った(はず)の「シダ植物の生活環」が出てきたりしました。
みなさん、ふむふむというお顔。束の間子ども時代にタイムスリップな気分。

さらにマメシバ造園さんから、吊り忍の成り立ちや歴史について簡単にレクチャー。
なんと、吊り忍って元々植木屋さんが、お得意さんへのサービスとして
はじめたのだそうです。へえ〜!

さあ、レクチャーもそこそこに、
まずは吊り忍の苔玉部分に植える植物を庭に出て探します。
合間合間に、僕からそれぞれの植物のご説明。

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けっこう、たからの庭ってシダが多いのです。
でも、シダだけでは面白くないので、
ケイワタバコとかジャノヒゲとかも植えちゃいましょう。

苔玉は名前のとおり苔に覆われているので、
苔が生えてるようなじめじめしたところに生える植物が合うはず!!!
一回りご説明したら、さあハンティングタイム!

「きゃあ!虫!」なんて声もありつつ、
けっこうおうちに連れて帰りたいお気に入りの子を探すのってハマるのです。
みなさん時間いっぱいまで粘ってあれこれ採集しました。

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ホールに戻ってからがいよいよ本番!

【工程①】ケト土・赤玉土・水苔をよく混ぜ合わせます。
ちょっと見た感じはチョコレートみたいなケト土は保水性がよくて苔玉にぴったり。
形を作れる固さになるまでよく混ぜ合わせます。
気分はお菓子づくり! 
だんだん無心になっていきます。
混ざったらお好みのサイズに丸く成形。
「自分の手になじむサイズにしましょう!」とマメシバ造園さん。

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【工程②】続いて、たっぷりと苔を貼って、採集してきた植物を植え付けていきます。
ここはみなさん、センスの見せ所! 
わたくし部長が修行中の生け花の知識を動員して、
「まずは主題の植物を決めて、他のものは角度をつけると動きがでていいですよ〜」
なんて申し上げました。

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【工程③】植物の位置が決まったら、
吊るためのシュロ縄をかけて、
苔を押さえるために凧糸でぐるぐる巻きにします。
こうしておけば苔が根付いて育っていきます。

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【工程④】さらにさらに、
肝心要の風鈴を取り付けるために、アルミの針金を苔玉に通します。
下の端は鍵状に曲げて、風鈴が引っかかるように!

【工程⑤】風鈴と、部長の故郷の隣町・小川町の和紙で作った短冊を選んで、
いよいよ完成!!!

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みなさん、はじめてとは思えない出来映え!!!
やっぱり、植物が生えてるところを観察して作ったからでしょうか。

最後に、帰ったらまずすることのご説明。
「どぶ漬け」と言って、水に苔玉を丸ごとつけることです。
これで、たっぷり水を含んで
まるでたからの庭の崖みたいにしっとりと湿った環境を再現するのです。

「途中で、植えたものが枯れちゃってもあきらめないで、
ちょっとツバキの枝を挿したりしておくだけでも根付いたりします。
気長にかわいがってあげて!」とマメシバ造園さん。

みなさんのお家にちょっとだけお嫁に行った、小さな小さなたからの庭。
それぞれのドラマはまだ始ったばかり...

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それぞれの吊り忍が、たからの庭の風景を思い出すよすがになりますように!
次回は、秋にまた趣を変えてお会いしましょう!