3.23 椿祭--みちくさ学・椿のすべて

みちくさ部長・清右衛門です。
例年、たからの庭の奥座敷で咲き乱れる「世界一の椿」。
今年は、「椿祭-tsubaki-sai-」と銘打って、3つのワークショップと
素敵なお食事でみなさまをおもてなしいたしました。

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僕の担当は、もちろん植物としての椿。
すべて、を2時間ほどでご説明することはできないので、
すべてにつながるメニューだけでも示せたら...

まずは、百聞は一見に如かずとばかりに、
駐車場に移動して自生のヤブツバキと、道路沿いに植えられている
タチカンツバキを観察します。

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椿についてもっとも多い質問と言えば「ツバキとサザンカどう違う?」
ですので、実物を見ながらその違いについて学びます。
サザンカは季節を過ぎているので、サザンカとツバキの雑種である
カンツバキに代理を務めてもらいます。

まず、ツバキはこのように雄しべが筒状に結合しています。
この雄しべも含めて、花全体がぼとり、ぼとりと落ちるのがツバキです。
葉も5〜7cmと大きく、比較的明るめな濃い緑です。

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一方、雄しべがきっちり結合しておらず、
散る時も花びらや雄しべがばらばらと分解しながら散るのがサザンカやカンツバキです。
葉は3cm〜5cmとツバキに比べて小さく、色も黒味が強くより落ち着いて見えます。
さらに、花にすこしくせのある甘い芳香があるのもサザンカの特徴。

サザンカはもう終わってしまいましたが、ツバキはまだまだ咲いていますから
違いを意識してご覧になってみてください。


二つの違いをよく観察したら、ゆるゆるみちくさしながら庭にもどります。
ちょうどカテンソウが1つだけ開いていますし、
どんぐりの実からはとんでもない長さの根が伸びています。
春は見るべきものが多すぎて目移りします。
ああ、いかん。今日は椿の日だった!

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庭に戻ったら、草に埋もれた階段と山道を上って、
世界一の椿に会いに行きます。

折しも、谷戸の木々は、一気に新緑が萌え出る一歩手前...
まるで、オーケストラがシンバルの合図で一気にテンポを上げるのを待っているよな、
静かなのに、うきうきとした雰囲気が漂っています。

午前の光が、世界一の椿の深紅に透過して、
赤い光が、その場の空気を支配していました。
一見すると情熱的のようで、その実どっしりと腰を落として、
土地を踏みしめて、掴んで、治めているような。
そう、あれは女王の風格でした。

惚れますよね。

恒例の、撮影タイム。みなさん、無心にシャッターを切られています。

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山を降りたら、和室に移って講義の時間。
 ・椿の生態
 ・椿と日本人の暮らし
 ・椿の育て方
という3つのテーマに沿って資料とスライドでお話ししました。
日本海側のユキツバキのお話に、
伊豆大島での椿とともにある暮らしの話...

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思えば、椿はいつも日本人が生活するそばにあって、
さまざまな場面が無数に思い浮かべられる希有な花です。
桜とも梅とも違う重みは、そのしっとりとした姿や色彩だけでなく
生き様というか、咲いて散る一連の動きによるのかもしれません。

いろいろ、お話ししてそろそろおやつタイム!と思って、
ふっと庭で店開きをしているスエさんに声をかけたら、
「ちょうど揚がりました!」と元気いっぱいのお返事。
なんだかんだで1年やってる名コンビ。息がぴったりです。
この満面の笑みと、カラフルな盛りつけをご覧あれ。

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まだ少し足踏みしている春を引き寄せるような「おからドーナッツ」は
世界でもっとも揚げ物に向いている椿油で揚げました。
もちろん、伊豆大島産です。
揚げているのに軽やかで、ぺろりといただきました。

さて、最後はお約束した椿の小さな苗プレゼントの時間です。
佐渡から仕入れていただたいた小輪であまり開かないタイプの品種です。
「椿」と聞いてお集りいただいた椿好きのみなさんですもの、
選ぶのもにぎやかに、みなさん笑顔がはじけるようでした。


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なんだろう。これは。きっと桜の品種ではこうはならない。
なにか、豊かさを感じる光景でした。
まるで、反物を選ぶような艶やかな時間。
こういう時間はきっと椿の周りにしか生まれ得ないのではないかとしみじみ思いました。

まだ、しばらく世界一の椿は咲いています。
4月いっぱいくらいでしょう。
ぜひぜひ、会いにきてください。
切り株で輪を作ってありますから、その中には入らないでくださいね。
根を大切に保護しています。

また、来年会えるその時まで、日々を重ねるのです。


※この記事の写真の一部は、ご参加のみちくさ部員・ゆりいさんからご提供いただきました。多謝!